今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第12問について解説します。

令和2年度賃貸不動産経営管理士試験 第12

賃貸人AがBに管理を委託しCに賃貸する「管理受託方式」と、AがBに賃貸し、BがAの承諾を得てCに転貸する「サブリース方式」の異同に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

 

ア BのCに対する立退交渉は、管理受託方式もサブリース方式もいずれも弁護士法に抵触し違法となるおそれがある。

イ Cの善管注意義務違反により賃貸物件が毀損したときは、管理受託方式の場合、BはAに対して損害賠償責任を負うが、サブリース方式の場合、BはAに損害賠償責任を負わない。

ウ Cが賃借する契約が終了し、Cに対して建物明渡請求訴訟を提起する場合は、管理受託方式の場合はAが原告となり、サブリース方式の場合はBが原告となる。

エ AB間の契約について、管理受託方式の場合は借地借家法の適用はなく、サブリース方式の場合は借地借家法の適用がある。

 

1  ア、イ

2  ア、ウ

3  イ、ウ

4  ウ、エ

 

 

解説

管理受託方式とサブリース方式の違いに関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ア

BのCに対する立退交渉は、管理受託方式もサブリース方式もいずれも弁護士法に抵触し違法となるおそれがある

 

×不適切です。

管理受託方式の場合、管理業者Bは、貸主Aと借主Cの賃貸借契約の当事者ではありませんので、Bが立退交渉という法律事務を行うことは、非弁行為として弁護士法に抵触するおそれがあります。

一方で、サブリース方式の場合は、Bは転貸人として転借人Cとの転貸借契約の当事者として交渉をおこなうことになりますので、弁護士法に抵触することはありません。

つまり、BのCに対する立退交渉は、管理受託方式の場合、弁護士法に抵触し違法となるおそれがあります。ただし、サブリース方式の場合は契約の当事者となりますので、弁護士法に抵触することはありません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 イ

Cの善管注意義務違反により賃貸物件が毀損したときは、管理受託方式の場合、BはAに対して損害賠償責任を負うが、サブリース方式の場合、BはAに損害賠償責任を負わない

 

×不適切です。

管理受託方式の場合、管理業者Bは、貸主Aから賃貸住宅の管理を委託されているだけであり、借主Cの善管注意義務違反によって賃貸物件が毀損しても、BはAに対して賠償責任を負うことはありません。

一方で、サブリース方式の場合は、実際に住んでいる転借人Cだけでなく、転貸人であるBも善管注意義務違反について責任を負います。

つまり、Cの善管注意義務違反により賃貸物件が毀損したときは、管理受託方式の場合、BはAに対して損害賠償責任を負いませんが、サブリース方式の場合、BはAに損害賠償責任を負います。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

選択肢 ウ

Cが賃借する契約が終了し、Cに対して建物明渡請求訴訟を提起する場合は、管理受託方式の場合はAが原告となり、サブリース方式の場合はBが原告となる。

 

〇適切です。

管理受託方式では、賃貸借契約の当事者は貸主Aと借主Cであり、Aが直接Cに対して訴訟を起こす必要があります。

一方、サブリース方式では、Bが転貸人としてCと契約を結んでいるため、Bが原告として明渡請求を行います。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

選択肢 エ

AB間の契約について、管理受託方式の場合は借地借家法の適用はなく、サブリース方式の場合は借地借家法の適用がある。

 

〇適切です。

管理受託方式は、管理を委託するための契約であり賃貸借契約ではないため、借地借家法の適用はありません。

一方で、サブリース方式では、AとBの間に建物賃貸借契約が成立しているため、借地借家法が適用されます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、不適切な選択肢はアとイですので、正解は選択肢①となります。

 

 

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